(浜田青陵 著「エジプト雑記」文藝春秋、昭和4年より)
カイロの騷がしい埃の町、出迎へて呉れた案内者サラーも宿屋の感じも、私達に所謂「オリエント」の惡い方面ばかりを印せしめた。此の遊覽地本位の市の、旅客に接する土人と埃及居住者とは、「ホテル」の番頭、給仕人、案内者、商店員と言はず、凡てがたゞ出來る丈けの利益を短時間のうちに占めようと考へ、其の極禮儀や節制をさへ失つてゐるらしく、此の金錢關係以外に、我々と彼等との間に何等人間的の交渉は成立してゐない。

2010年4月3日土曜日

アパートで軟禁(あくまで自主的)

「大学の先生」をやっていると、「春休みや夏休みが長くでいい仕事ですね」と言われることがあります。世間では、暇で楽な仕事と思われ勝ちですが、間違い!です。「教える」仕事の他に、大学運営の仕事と「研究」と言うものがあるんです。授業がない日も休みではないのです。エジプトでの勤務校、アインシャムス大学外国語学部日本語学科では、4月3日(日)がイースター、5日(春香祭)で、金曜と土曜はもともと休日なので、4月2日から5日までが連休になります。今回の連休に入る前に、アインシャムス3年生の男子学生、ハマーサとラーイドからも、「先生どこかへ遊びに行きませんか」と誘われましたが、「ごめん」と言わざるを得ませんでした。今イスマイールは、原稿執筆を抱えています。売れっ子作家はホテルにこもって、ルームサービス三昧で執筆活動に専念しますが、イスマイールはアパートにこもって執筆中です。ルームサービスはないので、自炊します。ストイックに仕事をする痛みを、美食という喜びで中和します。

そこで今日の夕飯の献立です。まずは生ガキです。















M先生に連れていってもらった、マアーディー地区の「グルメ・エジプト」で買ったニュージーランド産の冷凍生ガキです。1600円でした。箱の裏には、日本語を含む各国語の説明があって「生食」OKでした。これを解凍して、塩水で洗うと、こんなかんじになります。















いい感じじゃないですか?生まれて初めての、「エジプトでオイスター」です。オーストラリアのタスマニアン・オイスターのように濃厚でクリーミーな味でした。「死なないか」という思いが脳裏をかすめましたが、グルメに危険はつきものです。「それで・・ワインは?」ですって?ええい!何を申す!頭が高い!ここはイスラーム圏ですぞ。

主菜は、アパートのキッチンのありあわせの材料だけでつくった、(なんちゃって)マレーシア風海南鶏飯です。イスマイールが、エジプトとともに大好きなマレーシアの華人料理です。鍋に水と生姜とチキン味ブイヨンを入れて沸騰させます。火をとめて、スライスしたチキンを入れて、鍋のフタをしめて30分、余熱でチキンを調理します。その間、スープを必要分他の鍋に移してご飯を炊いておきます。タレは、ニンニクと生姜を擦ったものにチリパウダーを入れて醤油にまぜます。これだけで、チキン、ライス、スープの完成です。入魂の完成品を食べて見ると、(マレーシア語で)「マカナン・ムラユ・スダップニャ(マレーのめしはうまいニャー)」です。






















2 件のコメント:

  1. メリーちゃん2010年4月4日 21:29

    たのしく読ませて頂いています。エジプトが身近に感じられます。生牡蠣を生産地以外で食べられる勇気に脱帽!!
    くれぐれもお身体気をつけてください。

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  2. メリーちゃん、コメントありがとうございます。実は、日本のスーパーで買う生ガキよりも水っぽくなく格段においしいかったです。流通の規制とか独占とかの問題なんでしょうか、どうして日本では、海外の冷凍ものが買えないのでしょうか。

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