(浜田青陵 著「エジプト雑記」文藝春秋、昭和4年より)
カイロの騷がしい埃の町、出迎へて呉れた案内者サラーも宿屋の感じも、私達に所謂「オリエント」の惡い方面ばかりを印せしめた。此の遊覽地本位の市の、旅客に接する土人と埃及居住者とは、「ホテル」の番頭、給仕人、案内者、商店員と言はず、凡てがたゞ出來る丈けの利益を短時間のうちに占めようと考へ、其の極禮儀や節制をさへ失つてゐるらしく、此の金錢關係以外に、我々と彼等との間に何等人間的の交渉は成立してゐない。

2010年4月30日金曜日

Happy Dolphin

今日はまた、大学院2年生の最終授業でした。それで2年生3人と、ハッピー・ドルフィンという名前のナイル河畔のレストランへ。メニューは、エジプト料理です。蒸し暑い日でしたが、ナイル河畔は涼しい風がそよぎます。
左から、ノハさん、アファーフさん、オラさん、また会いましょう。
















ネクタイの贈り物、ありがとうございます。大事に使います。















このレストラン、テーブルの下に何か生き物がいます。
Happy Dolphinと言うより、Happy Catsのほうがいいんじゃないか。
アファーフさんもオラさんも大の猫好きなのは私と同じでした。

学部3年生の最終授業

今日は3年生の最終講義でした。「エジプト人が抱く日本のイメージ」についての活動を行いました。再来週の月曜に○浜○立大学に復帰して、その日から日本人学生に「アラブの言語と文化」を教えます。日本人学生に今日の活動の結果を紹介し、逆に「日本人の抱くエジプトのイメージ」についての活動をさせます。その結果は、アインシャムス大3年生の皆に必ず送るから、待っていてくださいね。みんなと、私の日本での学生と、何か交流ができるようにしますね。世界は狭い、また会おう!
















ハマサーとルルちゃん。協力的な学生でした。
Ahmed Mekkyのدور بنفسك、日本の学生に必ず見せるからね。


みんなが卒業する前に、また戻って来ます。

2010年4月29日木曜日

生牡蛎食うぜ!!

3ヶ月お世話になったドッイーのアパートともあと二晩でお別れです。そこで生牡蛎です。マグロの刺身も生牡蛎も、マアーディーのカルフール前の「グルメ・エジプト」http://www.gourmetegypt.com/で買ってきました。多分、今晩北アフリカで最も多くの生牡蛎がテーブルに並んだに違いない。















この壮観さは、もはや個人消費者の域を超えて、業者です。

2010年4月28日水曜日

大学院1年生の授業終了

イスマイールのカイロ出張もあと10日をきりました。今日で大学院1年の言語学の講義が終ったので、院生諸君と記念撮影です。ミナちゃん(男性)、お姉さま方から可愛がられているんだか、いじめられているんだか・・・。



















今日もたまたまアラーッさんを写すチャンスを逃しました。彼ら1年生は、ほとんど皆社会人経験があります。ミナちゃんとイヤホーンのプラグを鼻に入れて通信中。


ここの大学院のシステムは日本と違って、2年間の課程を修了してから論文を提出するんです。課程が終わってからか、2年が終わりそうなころから論文を書き始めます。その厳かさはPh.D.並みですが、この制度は変えなくてはなりません。学位はもっとさっさととらなきゃだめ。その後の人生がかかっているんですから。みんな、今度会ったときは修士になっていてください。





懐かしのフラメンコホテル

ナイル川の中洲ゲジーラ島ザマーレク地区にあるフラメンコホテルに用事があって行ってきました。便利な場所にあって、日本のビジネスホテル並のお手頃な値段のせいか、日本人ビジネスマンや技術者がよく使います。

私も過去何度か泊まったことがあります。一度は、ここに泊まりながらアパートを探して、結局フラメンコの真ん前のビルのアパートを借りて住んだことがありました。ビルの下には高級スーパーの「メトロ」があります。そんなわけで、この界隈はよく知っています。

フラメンコのベルボーイのマムドゥーフさんとも数年ぶりに再会しました。前はもっと毛があったのに。

2010年4月24日土曜日

イエメン料理

今日はカイロのMohandeseen地区のイエメン料理店へ行ってきました。店名は「ハドラマウト」。イエメンの地名です。あのオサーマのビンラディン一族はハドラマウトの名家です。イエメンはアラビア半島の南部に位置する国ですが、GDPが低いので、カイロにはイエメンからの出稼ぎ者が大勢います。

このレストランのイエメン料理は、アラビア半島全域で出される「カブサ」。飯の上に肉がドーンとのっている単純明解な料理です。山羊のカブサを頼みました。

























トマトソースをかけて、唐辛子と生タマネギを薬味に豪快に食べます。















耳のような軟骨のような部分は硬くて食いちぎれませんでした。お皿の中央右上のゼンマイみたいな切れ端は山羊の尻尾です。味は?う〜ん・・・山羊です。

2010年4月22日木曜日

読売・BBC調査「世界に良い影響を与えている国」

この調査は17カ国について評価を聞いて、「良い影響」と「悪い影響」を調べたもので、日本の良い影響の評価は53%で、ドイツの59%に次いで第2位でした。

エジプトでの同調査は、カイロ、ギザ、ショブラルヘーマで実施されたのですが、エジプト人が思う「良い影響」を与える国は次の通りでした。アフリカ大陸に進出している中国経済のせいか、中国が強いです。エジプトでの日本の評価は世界平均より低いということ。アメリカとイスラエルは予想通り弱し。

中国   82%
ロシア  78%
イラン  62%
イギリス 45%
日本語  45%
フランス 42%
EU   40%
インド  35%
ブラジル 34%
北朝鮮  28%
アメリカ 16%
ドイツ  16%
パキスタン 5%
イスラエル 5%

2010年4月21日水曜日

アインシャムス大学大学院生

今日は、日本語学科大学院1年生を紹介します。前列左から、ファトゥマ、ゼーナブ。後列左からレニー、イスマイール、ミナです。アラー君もいますが今日はお休みだったので後日アップ予定。総勢5名のうち、コプト教徒が3名。ムスリム2名。コプト正教会はキリスト教の由緒正しい東方教会の一つで、エジプト政府の公式発表では人口の1割程度となっています。でも、本当は明らかに1割以上でしょう。人口の1割以上と言ったら、もはや少数派として扱うには多すぎる比率。エジプト人=ムスリムというステレオタイプはまずいんじゃないですか。また、米国発のインチキ情報の「文明間の衝突」は、キリスト教=西洋VSイスラーム教=中東なんて言っているけど、いかに米国の政権に都合がいいようにねつ造された図式かがわかります。

ど真ん中のゼーナブ嬢は、猿が好きで、カイロ動物園へわざわざ行って猿を鑑賞する面白い人物。



アラビア語を母語とする22カ国の中でも、エジプト人はとびきり明るい性格が信条。



レニーは、日本語のピッチアクセントに興味がありますが、外国人訛りに誇りをもってください。


ミナちゃんは、ハスキーなガラガラ声の好青年です。いい奴です。この下に衝撃の2年前のミナちゃんが・・・・!!


学部生時代のミナちゃんが中央付近に見えます。このクラスは、2年前にイスマイールがアインシャムスを訪れた時の学年混合クラス。前列には、現在4年生のモーメン、サラがいます。ミナちゃんの向かって左は、マナールとマルツィンか?ミナちゃんの右は、オラさん?


おまけに、2008年の大学院生です。うち何名かは、大学助手になって立派に活躍しています。「イスラーム圏では女性が社会進出していない」って?誰かが意図的に流した誤情報です。どこの国とは言いませんが、「中東に民主化を!」と他人にちょっかい出す前に、勝手に他人の国に侵略して戦争を始めて儲ける、その伝統的手口を止めろ!!

2010年4月20日火曜日

カイロ大学教員クラブ

今日はカイロ大学日本語学科長のカラム教授とマーヘル准教授と夕食をご一緒しました。場所は、カイロ大学教員クラブ。普通の人は入れません。場所はナイル河畔の一等地。カイロ大は、この他にも2つのクラブを持っています。

今日は日中は40度近くまで気温が上がったのですが、ナイル河畔は結構涼しいです。
















昼間の喧噪が嘘のようです。


向かって左がマーヘル先生、右がカラム先生です。イスマイールは、チキンとヨーグルトサラダとご飯の葡萄の葉巻を頼みました。マーヘル先生におごっていただきました。彼とは5年前にカイロ大学でチームを組んで言語学の講義を担当しました。マーヘル氏はまた日本語辞書の著者でもあります。カラム先生はアラブ圏初の日本語教授。1970年来の知りあいです。いやあお互い年取って毛が薄くなった(失礼!)。今月29日のカイロ大研究会に遊びに行くと約束して別れました。感謝。ちなみにイスマイールの手がまるで乾杯しているように見えますが酒ではないので念のため。

2010年4月18日日曜日

アラビア語エジプト方言ー空耳編

いままで考案したオリジナル空耳エジプト方言のフレーズをUPしておきます。ジョン万次郎の「掘った芋いじるな(What time is it now?)」と同じノリです。意外と通じます。各空耳アラビア語の下には、該当する原語とその意味を書いておきます。

皿まで食う?
Issalaamu 3aleekum「あなた方に平安あれ」

我食う皿も。
Wa 3aleekumi s salaam「あなた方にこそ平安あれ」


あ、払わんは触らん。
Ahlan wa sahlan「ようこそ」


罪悪?
Izzayyak「お元気ですか(男性に)」

(体育会の先輩に)恐いっす。
Kuwayyis「元気です」

(体育会の先輩に)虫、恐いっす。
Mush kuwayyis 「良くないです」




歯が、虫恐いさ
7aaga mush kuwayyisa「良くないことです」




(泉ピン子が)勝ったる!平楽
Kattar xeerak 「どうもありがとう」



江角マキコへ
Ismak eeh「あなた(男)のお名前は何ですか?」

田代ベーッ
Tashrab eeh「あなた(男)何飲む?」

(上記元芸能人が続きます)マーシー
Maashii「OK」(男性に多い発音)

名刺
Meeshii「OK」(女性に多い発音)

会津へ
3aa'iz eeh「あなた(男)何ほしいの?」

ライス、ゴム放り屋
Ra'iis il gomhuureyya「共和国大統領」

娼婦!
Shuuf 「(男性に)見て!」

アインシャムス大学日本語学科

しばらく授業準備と執筆活動で夜更かし・睡眠不足生活が続いていて、ブログ更新をするヒマがなかったのですが、日本の恵鈴(娘)にせっつかれたのでアップしておきます。

アインシャムス大学日本語学科の先生たちと、ナイル川中洲のゲジーラ島ザマーレク地区の韓国料理店HANAに行ってきました。中央のK先生ご夫妻が帰国されるので送別会です。写真は無断掲載してしまいましたが、ご指摘があったら取り下げます。

HANAは居酒屋的雰囲気の中、韓国料理や日本料理が食べられるので在カイロ邦人に大人気です。集合前に久しぶりに、カイロアメリカ大学の本屋とディーワンというモダンな本屋をのぞいてみました。アメ大がエジプト方言の各レベルの教科書を出版していましたが、自分でもやや同じ系統の教科書を執筆中なので、帰国前に買いに来なくちゃ。
















次はクロちゃんのシルエットです。

僕の特等席だニャ。




こうやって、ご飯をくれるのを待ってます。






2010年4月6日火曜日

一応撮っとくか、研究風景

光陰矢の如し。エジプト出張もあと1ヶ月を残すばかりとなりました。最初の1ヶ月は生活スタイルの確保のため、2ヶ月目は結構怠惰、3ヶ月目は撤収/ストイックモードとなりました。今は原稿執筆をかかえて、ひたすら考える・・・そしてひたすら記す。授業のために昼間は大学へ行くも、残りは生活の中で原稿を書くというよりも、原稿のなかに生活があるという感じです。二十代から三十代にかけてのロンドンの院生時代を思い出しました。二十年ぶりの似たような生活です。実感した違いは2つ、集中力と体力の低下と、時間の経過がとてつもなく速くなったこと。日本では研究者よりも、良い教師をめざしてきたけど・・・でもこれが、大学研究者の本来の姿だったんだよね。まだまだいけるね!日本の某○浜○立大学での生活、見直さなきゃ。


2010年4月3日土曜日

アパートで軟禁(あくまで自主的)

「大学の先生」をやっていると、「春休みや夏休みが長くでいい仕事ですね」と言われることがあります。世間では、暇で楽な仕事と思われ勝ちですが、間違い!です。「教える」仕事の他に、大学運営の仕事と「研究」と言うものがあるんです。授業がない日も休みではないのです。エジプトでの勤務校、アインシャムス大学外国語学部日本語学科では、4月3日(日)がイースター、5日(春香祭)で、金曜と土曜はもともと休日なので、4月2日から5日までが連休になります。今回の連休に入る前に、アインシャムス3年生の男子学生、ハマーサとラーイドからも、「先生どこかへ遊びに行きませんか」と誘われましたが、「ごめん」と言わざるを得ませんでした。今イスマイールは、原稿執筆を抱えています。売れっ子作家はホテルにこもって、ルームサービス三昧で執筆活動に専念しますが、イスマイールはアパートにこもって執筆中です。ルームサービスはないので、自炊します。ストイックに仕事をする痛みを、美食という喜びで中和します。

そこで今日の夕飯の献立です。まずは生ガキです。















M先生に連れていってもらった、マアーディー地区の「グルメ・エジプト」で買ったニュージーランド産の冷凍生ガキです。1600円でした。箱の裏には、日本語を含む各国語の説明があって「生食」OKでした。これを解凍して、塩水で洗うと、こんなかんじになります。















いい感じじゃないですか?生まれて初めての、「エジプトでオイスター」です。オーストラリアのタスマニアン・オイスターのように濃厚でクリーミーな味でした。「死なないか」という思いが脳裏をかすめましたが、グルメに危険はつきものです。「それで・・ワインは?」ですって?ええい!何を申す!頭が高い!ここはイスラーム圏ですぞ。

主菜は、アパートのキッチンのありあわせの材料だけでつくった、(なんちゃって)マレーシア風海南鶏飯です。イスマイールが、エジプトとともに大好きなマレーシアの華人料理です。鍋に水と生姜とチキン味ブイヨンを入れて沸騰させます。火をとめて、スライスしたチキンを入れて、鍋のフタをしめて30分、余熱でチキンを調理します。その間、スープを必要分他の鍋に移してご飯を炊いておきます。タレは、ニンニクと生姜を擦ったものにチリパウダーを入れて醤油にまぜます。これだけで、チキン、ライス、スープの完成です。入魂の完成品を食べて見ると、(マレーシア語で)「マカナン・ムラユ・スダップニャ(マレーのめしはうまいニャー)」です。